[第25回]IoT技術セミナー『長足の進歩を遂げた「測位技術」の今 精度と保守性が劇的に向上』講演概要

5G時代に“真に使える衛星測位技術”を展望する

講 師
ライトハウステクノロジー・アンド・コンサルティング株式会社
代表取締役社長
前田 裕昭

<講演内容>
 2007年10月に設立以降、当社では衛星測位とそれに関連する技術開発を進めて参りました。現在の“みちびきシステム”の開発においては、総合システムのグランドデザインや、衛星測位サービスシステムのシステム設計、軌道推定などの主要なパートのソフトウェア開発を手がけました。また、専門家向けに、干渉・妨害に係わるサービスや測定分析サポート、GNSS受信機の販売、最大で16入力となるフロントエンドプロセッサの販売も行っています。
 一方で、最近話題のIoT、自動運転、5Gに密接に関連する技術分野ですが、コンシューマ向けとして、高精度位置決定(PPP)サービス、GNSSデータプロダクトサービス、長寿命エフェメリスサービスなどを展開し、ご利用頂いているお客様にはご好評を頂いており、お問い合わせも頂戴しております。
 本講演では、これらビジネス全体を俯瞰して衛星測位の現状を明らかにするとともに、5G時代を見据えて“真に使える衛星測位技術”を展望していきたいと思います。

  • “みちびきシステム”の現状
  • 高精度位置決定(PPP)サービス
  • 長寿命エフェメリスサービス
  • 5G時代に向けて

<講師略歴>
1988年筑波大学大学院工学研究科博士課程を中退し、(株)東芝に入社。宇宙開発部門に配属され、人工衛星搭載用GPS受信機の開発、GPSデータに基づいた人工衛星の軌道推定システムの開発、無人着陸実験用シュードライトシステム、“みちびき1号機システム”の開発を手がける。2007年10月にライトハウステクノロジー・アンド・コンサルティング(株)を設立し、現在に至る。工学博士。

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人から車両へと計測対象を拡大中
GPS・ビーコン・WiFi非依存型測位を実践する自律航法の現状

平林 隆 氏
サイトセンシング株式会社
代表取締役社長
平林 隆

<講演内容>
 当社では、日本のような先進国において人の位置・行動を経済と深く結びつけるためには、まず屋内での情報を充実させるべきとの認識から、屋内測位技術の実用化に取り組んで来ました。その際、当社が屋内測位技術の中核に据えたのが、加速度センサーやジャイロセンサー等で位置を測定できる「自律航法技術」です。
 これを応用した「PDRplusシステム」を開発し、2013年6月より製造工場や倉庫、石油プラント、発電所、パチンコ店、レストラン、ブティックなど多くの施設において測位計測を手掛けてきました。2017年以降は、計測対象をフォークリフトなどの産業車両へと拡大し、人よりも早く移動するモビリティ分野への採用可能性も検討しています。ただ、最近はGPSやBLEビーコンとの共用などで自律航法への期待が高まりすぎ、多くの“誤解”をもったまま導入検討しようとしている方に遭遇することが少なくありません。
 そこで本講演では、まずこの “誤解”を解き、自律航法の特性や特徴、そして限界を明らかにします。そして、最新の自律航法技術でどこまでの測位が可能かについて、実例をあげながら詳しく解説。加えて、フォークリフトなどの産業用途に向けた新たな可能性も紹介していきます。

  • 自律航法技術とは?
  • 今なぜ自律航法なのか?(膨らむ期待の裏側)
  • 特性・特長、そして 限界
  • 産業課題・社会課題解決へ向けて
  • 実用化へのヒント、アドバイス

<講師略歴>
1983年4月 大成建設(株)土木設計部構造設計室にて、コンクリート構造・橋梁の設計に従事。
1992年8月 ADLジャパン/A.T.カーニー/マッケンナGrにて経営コンサルタントとして、リエンジニアリング・新規事業開発分野を主に担当。
2008年9月 産業技術総合研究所 ベンチャー開発部所属。
2012年6月 サイトセンシング株式会社設立と共に代表取締役に就任。顧客開拓・市場I/Fに注力。
著書:「顧客ロイヤルティー経営」(2006年3月、生産性出版)

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<休憩 15分>

“仕切られた空間”での位置把握に有効
音波ビーコンや放送による屋内測位の仕組みと応用

川瀬 勉 氏
株式会社リコー
デジタルビジネス事業本部 センシングソリューションセンター センター付 兼
ソリューション開発グループ リーダー
川瀬 勉

<講演内容>
 当社では、IoTが登場した初期から「音波」による測位技術の確立をめざした研究開発を進めてきました。本講演では、その取り組みから得た知見を披露するとともに、音波の特性を活かすことができる“仕切られた空間”に向けた屋内測位ソリューションの最前線をお伝えします。
 音波による測位には、BluetoothやWi-Fiを使った測位と同様に強度計測や伝搬遅延計測などいくつかの手法を用いることができます。ただし、電波と比較して壁など屋内環境の影響を受けやすく、反射、透過、遮蔽、吸収、ドップラーといった現象が精度や位置分解能を大きく左右することが分かっています。そこで当社では、これらの特性を逆に有効利用し、“仕切られた空間”に向けた測位ソリューションに応用することを研究開発の柱に据えて普及活動を行なっています。
 具体的には、仕切られた空間を“ゾーン”として捉え、ゾーンに向けて非可聴音を放出する放送設備(主にスピーカー)を独自の手法で開発・設置することにより、特定のスマホへ情報を届けたり、測位システムとして活用することが可能になります。現在、電波法に縛られないという利点を生かし、教育現場やイベント会場などへの柔軟な設置を推進しているほか、想定外の災害に見舞われた現場やインバウンド、バリアフリー対策などへの応用検討を積極的に進めています。

  • 弊社での測位技術開発の概要(電波、音波)
  • “音波”による測位や情報配信の現状と特徴
  • 現在、採用している音波測位システムの仕組み
    (1)音波ビーコン型
    (2)放送型
  • 音波測位システムを活用したサービスやビジネスへの適用イメージ

<講師略歴>
1989年 リコーへ入社し、生産技術者として複写機、複合機の生産準備、生産ラインシステムの開発、構築を担当。PCを使って生産する製品の自動調整や検査、データ収集システムを構築。位置測位として赤外光を利用。
1999年 渡英。英国にて、欧州市場向け現地製品開発や製品カスタマイズ業務の立ち上げに従事。
2006年 帰日。生産の革新プロジェクトに参画。トレーサビリティ、ロボティクスエリアのリーダー。リコーの工場内、工場間のトレーサビリティの構築。
2009年 新規事業としてRFID事業立ち上げに参加。RFIDの活用、工業製品にRFIDを使うための特殊RFID開発に従事。
2013年〜 位置を含む情報を活用してビジネスとするIDビジネス新規事業立ち上げ。主に以下を手掛けている。
・位置情報測位技術開発
・音波技術の開発、音波ビーコン開発、音波活用方法の企画・開発
・関連事業企画・開発

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バーチャルBLE測位ソリューションの詳細
〜AI/クラウドとBLEで実現する新しい屋内位置情報ソリューション〜

古場 健太郎 氏
ミストシステムズ株式会社
セールスエンジニアリング シニアシステムエンジニア
古場 健太郎

<講演内容>
 ミストシステムズでは、独自の「バーチャルBLE」(vBLE)技術を用いた手軽で高精度のインドア向け測位ソリューションをワールドワイドで提供しています。vBLEによって物理ビーコンを使用しない測位環境を実現することが可能になっており、これまで物理ビーコンで課題となっていた設置工事や管理・メンテナンスの問題を解決することができます。またvBLE技術により、従来のビーコンでの測位やエンゲージメントを踏襲する「仮想ビーコン」をマップ上に設置することも可能です。vBLEで使用するアクセスポイントは無線LANとの相乗り仕様になっており、16本のBLE指向性アンテナが標準搭載されています。これをAIエンジンを搭載したクラウドに接続することにより、簡単に1-3mの精度をもつ屋内位置情報の提供が可能となります。
 本講演では、当社の特許取得技術であるvBLEの概要と、これによって実現する「vBLEエンゲージメント」「vBLEアセットビジビリティ(資産可視化)」といった測位ソリューションの仕組みを解説していきます。また後半では、小売業でのカスタマーエンゲージメントやリソース管理への適用方法について述べるとともに、海外での先行事例を紹介していきます。

  • vBLE テクノロジーの概要
  • 測位ソリューション(1)エンゲージメント
  • 測位ソリューション(2)アセットビジビリティ(資産可視化)
  • 小売業における適用イメージ
  • アセット可視化への適用イメージ
  • 海外導入事例

<講師略歴>
ミストシステムズ株式会社セールスエンジニアリング シニアシステムエンジニア。シスコシステムズ合同会社にて大手サービス・プロバイダ企業向けの技術支援を担当。SD-WANやManaged Wirelessのプロジェクトに従事し、担当企業様のサービスの立ち上げに尽力。その後Riverbed TechnologyでSD-WANの国内展開を牽引し、2018年6月より現職にて日本のマーケットへの展開を推進中。

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<16:35〜17:00 個別質疑・名刺交換>

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