システム開発プロジェクトにおいては、「無意識のうちに騙(だま)し絵を描いてしまわないように注意する必要がある」と筆者は考えています。要件を定義する際、自分が「騙し絵を描いている」ことに気づかないまま後工程に進んでいくと、騙すつもりはなくても、システムにからくりを仕込んでしまうことになりかねません。また逆に、騙し絵が描かれていることに気づかないまま 後工程に進んでいくと、「からくりに気づいた時には既に遅い」という事態に陥ります。
筆者は、騙し絵が原因となって難航した開発プロジェクトを数多く見てきました。それほどにビジネス・業務・システムの無数の色合いを「要件として明確化する」ことは困難な作業なのです。
本書では読者の皆様と、そんな困難な作業に、できる限り少ない労力で立ち向かうための術を、共有したいと考えています。奥深い要件定義について、一緒に学んでいきましょう。 (本書「まえがき」より)
■著者プロフィール
赤 俊哉(せき としや)
1964年生まれ。SI会社のプログラマー、SEを経て、ユーザー企業(劇場)の情報システム部門に着任。全社のシステム化を推進した後、業務現場にて営業・飲食事業・座席予約管理業務のマネージメント、BtoCビジネス等を担当。現在は全社のIT戦略とともに、業務改革、データ経営の推進、データモデリング/プロセスモデリング等、業務管理全般に従事。併行して「ポップカルチャー×伝統芸能×パフォーマンス×IT」を融合した全く新しいショーを作り上げ、プロデューサーを務める。いつも心に留めているのは「鳥の目を持って地べたを這う」(造語です)姿勢を忘れないこと。
著書に『システム設計のセオリー』(リックテレコム)、『SE職場の真実』(日経BP)がある。
週末の楽しみは末っ子のましゅーとの散歩。
■本書の主な内容
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